みなさんは、「クラウドファンディング」をご存知ですか?
利用者数が年々増加しており、国内だけでも数千億もの市場規模があるといわれているクラウドファンディング!
有名な所では、お笑い芸人さんが絵本を出版する際にクラウドファンディングを利用したというニュースが話題になりましたね。
そんなクラウドファンディング、なんとなく言葉は聞いたことがあるけれど、詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、クラウドファンディングの基本的な仕組みやそのメリットについてわかりやすく解説していきます。
目次
クラウドファンディングってどんなもの?
まず、クラウドファンディングとは「Crowd(クラウド)」と「Funding(ファンディング)」からなる言葉です。
Crowd(群衆)+Funding(資金調達)
という意味であり、つまり“多くの人々から広く資金を集める方法”を意味しているのがクラウドファンディングです。
「こんなものを作りたい」
「こんな仕事を始めたい」
という新しいアイディアや、
「世の中の問題を解決するためにこんなことをしたい」
というプロジェクトを持っている起案者が、インターネットを通じて支援者を募ります。
ネット上で資金を集め、集まった資金を元にアイディアやプロジェクトを遂行していくという仕組みです。
クラウドファンディングのルーツ
ここで、クラウドファンディングのルーツについてお話します。
日本国内においてクラウドファンディングが現在のような形で普及し始めたのは、2011年頃です。
東日本大震災の復興支援という形で、インターネット決済で資金を集める方法が浸透し始めたのです。
世界では、クラウドファンディングの産みの親とも言えるアメリカを中心に、日本よりもはるかに大きな市場規模を誇っている国が多数あります。
アメリカでは、年間1兆円以上ものお金がクラウドファンディングで取引されており、多くのクラウドファンディングサイトが運営されています。
ヨーロッパでも市場規模は毎年増えてきており、特にイギリスはヨーロッパ全体の約3割以上を占めているといわれるほど、大きなお金が動いています。
国内では、クラウドファンディングが世間に知れ渡った2011年は、国内全体で年間70億円程の市場でした。
しかし、2016年時点では500億円弱にまでのぼりつめ、クラウドファンディングは日本で急激な成長を遂げていることが分かると思います。
ここ数年で、有名人がクラウドファンディングに参入するケースやクラウドファンディングによる成功例が話題となったことで、その市場規模の成長は著しいものとなっているのでしょう。
また、国内ではまだ歴史が浅いように見えるクラウドファンディングですが、考え方としては昔から日本の中でも存在していたともいえます。
例えば、寺院や仏像などの修復・お祭りなど地域の行事ごとのときには、団体は一般人から寄付を募ることがありますね。
寄付した金額に応じて、掲示板やお寺の中に名前が掲示されるという、いわば「リターン」のような制度を行っていた神社もあります。
このように、寄付した金額に応じてリターンがある! という仕組みは、クラウドファンディングの考え方の基本部分となっていると言えるでしょう。
クラウドファンディングって簡単そう!?
ここまでの内容を読んで、クラウドファンディングって結構簡単かも……と思う人もいるかもしれません。
クラウドファンディングの仕組みとしては、プロジェクトを提示して賛同者を募るというシンプルなものですが、大切なのは「起案者と出資者のマッチング」です。
いくら良いアイディアやプロジェクトを思いついても、多くの人の目に留まらなければ十分な資金を集めることができません。
また、投資をしたいと考えている人も、良い起案者と巡り合いたいと思っていることでしょう。
そこで起案者・投資家双方をマッチングさせる役割を果たしているのが『クラウドファンディングサイト』なのです。
起案者は、サイトに自身のプロジェクトを掲載してもらうことで多くの投資家や支援者を見つけることができ、支援者もサイト内で多くの起案者の中から自分が支援したい人を選ぶことができます。
現在国内には様々なクラウドファンディングサイトがあり、利用者数・市場規模は年々増加傾向にあります。
2018年現在では、100以上ものクラウドファンディングサイトが運営されており、それぞれ様々な特徴と持っています。
・どのタイプのクラウドファンディングを取り扱っているか
(クラウドファンディングのタイプについては、下記で解説します。)
・どのようなプロジェクトに特化した起案者が集まるサイトなのか
(スポーツ・地域・音楽など)
この2点をよく見ながら、自分の投資したい起案者を探す・自分のアイディアを掲載するサイトを見つけることがポイントとなります。
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クラウドファンディングは大きく分けて4種類!
いま現在日本や世界で行われているクラウドファンディングは、大きく分けて4種類あります。資金を集める方法は同じでも、支援者へのリターンの方法や、何を目的とした投資なのかによって種類が変わってきます。それぞれの特徴を解説していきます。
【① 購入型クラウドファンディング】
現在国内で行われているクラウドファンディングの中でかなりの割合を占めているのが、この『購入型クラウドファンディング』です。
プロジェクトの起案者は、募ったお金でプロジェクトを遂しますが、支援者へリターン(還元)を行うのがこの購入型の特徴です。
リターンの内容は、予め起案者によって決められており、金銭以外の権利やサービスをリターンとすることが決まりとなっています。
購入型クラウドファンディングのリターンの例としては、
・ゲームの先行配信
・チケットを割引価格で買える権利
・プロジェクトで完成した製品
……などが挙げられます。
中には、リターンの内容を見て投資をするという支援者も多いでしょう。
購入型クラウドファンディングは、クラウドファンディングの中でも最も一般的な方法と言えます。
【② 投資型クラウドファンディング】
こちらは、分配金がリターンとして受け取れる、株式のようなクラウドファンディングです。
起案者がプロジェクトを進めていく上で得た利益を、配当という形でリターンしていく仕組みです。
元金が返済されるわけではなく、あくまでも、得られた利益を配当としてもらうことができるというものです。
プロジェクト開始前の計画通り進めば、想定通りの分配金を貰うことができますが、計画が上手くいかなかった場合などは、元本割れが発生するケースもあります。
あくまでも投資型なので、プロジェクトが上手くいかなかったにも起案者には返済の義務はありません。
【③ 融資型クラウドファンディング】
起案者のプロジェクトを支援したいと集まった資金を『融資』という形で貸し出すのが、この融資型クラウドファンディングです。
支援者は起案者に、お金を貸している状態になるということです。
他のタイプのクラウドファンディングとは異なり、起案者は支援者に対してお金を返済する義務があります。
支援者は、貸し出した元金にプラスして金利分も受け取ることができるので、資産運用の手段としても注目されています。
【④ 寄付型クラウドファンディング】
約束されたリターンがなく、寄付という形で無償で提供するのが、この『寄付型クラウドファンディング』です。
街中で募っている募金を、インターネット上で大規模に行っていると考えていただければわかりやすいのではないでしょうか?
リターンは義務ではありませんが、復興支援ということであれば資金が何に使われたのか写真で情報が公開される・起案者からの感謝の手紙などがリターンとなることがあります。
主に、震災などの復興支援・地域活性化・社会貢献活動などに関するプロジェクトを遂行するための資金として用いられることの多いタイプのクラウドファンディングです。
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クラウドファンディングで成功した有名な事業例
仕組みが分かった所で、クラウドファンディングを使って実際に成功した有名な事例をいくつかご紹介します。
《キングコング西野さん 絵本出版》

芸人として有名なキングコングの西野さんが、クラウドファンディングで資金を集めて絵本を出版しました。
西野さんの書く「えんとつ町のプペル」という本を出版するためクラウドファンディングで資金を募ったところ、結果として1000万円以上の資金を集めることに成功しました。
この西野さんの事例は、クラウドファンディングが多くの人に知られるきっかけとなったと言われています。
その後も、プペルの個展を入場料無料で開催するために再度クラウドファンディングで資金を募ると、今度は4600万円を超える資金が集まりました。
《鎌倉市 観光道のルート看板》

地方自治体が全国で初めてのクラウドファンディングによる資金調達を行い、成功した例として「鎌倉市」が挙げられます。
民間団体と協力して、観光客向けのルート看板を作るためにクラウドファンディングを始めました。
1ヶ月も経たずに、目標である100万円を達成することができ、無事に観光看板を作成することができました。
《ポップカルチャーマガジンの発行》

秋葉原を中心とした、いわゆるオタク系のカルチャー情報マガジンを世界に向けて発行したいというプロジェクトも、クラウドファンディング界で大きな成功を納めています。
多くのアニメ系のイラストや漫画の発信者が協力して行われた本プロジェクトでは、目標金額の5倍もの資金が集まりました。
世界的にも有名な秋葉原のカルチャーに特化したプロジェクトということもあり、世界中のアニメに興味のある支援者の心をつかむことができた点が成功のカギとなりました。
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クラウドファンディングをやりたい場合はどうすればいいの?

《起案者側》
素敵なプロジェクトがなくては、クラウドファンディングで資金を集めることはできません。
そのため、自分の目標をいかに魅力ある計画にして、支援者にプレゼンするかが一番のポイントとなります。
・目的
・それに必要な資金
・支援者へのリターン
・細かい資金の使い道
・資金を得た後の具体的なプロジェクトの進め方
・プロジェクトを進めていくことで得られるお金や結果の試算
上記のことを、明確かつ分かりやすく、多くの人に伝わるようにしなくてはなりません。
その為には、多くの画像や、動画を用いてプロジェクトを説明できるように準備が必要です。
準備が整ったら、どこのクラウドファンディングサイトを使って支援者を探すかを決めましょう。
会員登録をした後、プロジェクトを投稿して担当者からの連絡を待ちます。
すると、サイト運営側からアクションがありますので、話し合いを経て審査を通過すれば、自分のプロジェクトがサイトに掲載されて支援者を募ることができるという仕組みです。
つまりは、審査を無事通過してサイトに掲載される所がスタート地点です。
クラウドファンディングの起案者側は、まずこのスタート地点にくるまでの準備が非常に骨の折れる内容と言えるでしょう。
《投資・支援者側》
投資・支援する側としてクラウドファンディングを始めたいという方は、まずは自分がどのような分野のプロジェクトを応援したいか考えてみましょう。
クラウドファンディングサイトの中には、特定のジャンルに特化した起案者のみを集めているサイトも多々あります。
例として、音楽・研究・スポーツ・医療・地域などです。
ジャンルが決まっているようであれば、そのジャンルに特化したサイトの中から支援したい人を探してみましょう。
特に、決まっていないようであれば、総合サイトを見ながらゆっくりと選んで行きましょう。
支援したい人が見つかったら、そのクラウドファンディングサイトに会員登録をして、支援をスタートしましょう。
その際に、リターンとして何がもらえるのか・どのタイプのクラウドファンディングなのかをしっかりと確認してから支援をスタートすることが重要です。
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クラウドファンディングのメリット・デメリットを頭に入れておこう

《起案者側》
メリットは、なんといっても、多くの人から資金を集めることでプロジェクトを進めることができる点にあります。
いくら良いアイディアがあっても資金がなくてはどうにもならないこともあるでしょう。
そんな資金による壁を乗り越えさせてくれるのが、クラウドファンディングです。
デメリットとしては、自分のプロジェクトを多くの人に理解してもらうための準備が大変であるという点でしょう。
アイディアの中には、他人に盗まれてしまう危険性があるものもあるでしょう。
そのような場合には、サイト上に投稿する前にあらかじめ特許を取得しておくなどの予防策が必要となります。
他にも、サイトの審査を通過するため・多くの人から支援したいと思ってもらうために、いかにわかりやすく広く支援を募れるかをしっかりと考えてプロジェクトを解説していく必要があります。
《投資・支援者側》
メリットは、自分が支援したいと思えるプロジェクトを多くの選択肢の中から選ぶことができる点にあるでしょう。
インターネットの強みであるその情報量で、国内外問わず多くの起案者のプロジェクトを見ることができます。
単に、「起案者を応援したい・地域や被災地の為に」という気持ちからクラウドファンディングで支援を行うのであれば、大きなデメリットはありません。
しかし、資金運用や有益なリターン目的での支援を行う場合、元金が回収できない・プロジェクトが上手くいかなくなるとリターンが見込めないなどのデメリットが発生してきます。
支援する先・支援する目的を明確化して、元金割れは困るという場合は融資型クラウドファンディングを選ぶなど、慎重に支援先を選ぶようにしましょう。
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まとめ
自分の持っている素敵なアイディアを、現実のものとする為のチャンスがクラウドファンディングによって生みだされます。
クラウドファンディングの素晴らしい点は、有名人でなくとも、多くの人に発信して支援を呼びかけることができる点です。
また、支援者の立場としても自分が本当に応援したいと思う人を選んで支援をすることができるので、楽しく資金運用を行うことができるでしょう。
クラウドファンディングで成功しているのは、有名人だけではありません。
魅力あるプロジェクトやアイディアが認められれば、貴方も多くの支援者から資金を集めることができるかもしれません。
資金面の問題から、夢を諦めていた方は、是非クラウドファンディングで、支援者を募ってみてはいかがでしょうか?
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